命のバトンと空の旅──義父の三回忌、そして「死」をめぐる良書との出会い

日本移動日。お父さんの三回忌のための日本への一時帰国です。

飛行機浮気性の私ですが、今回は初心に立ち返ってのANA利用。日本からの帰国時には預け荷物2個は持って帰ってきたい(今回は皿30枚がすでに奥さんの持って帰らせるリストに記載されている模様)ので、LCCを使わないこともある理由になっています。

何故か今回オンラインチェックインができなかったので、普通の列に並びます。他の人達もできない人が多かったようで、オンラインチェックイン済みリストを持って歩く空港スタッフも暇そう。空港でももう一度オンラインチェックインをPCを引っ張り出してやってみましたが、やはりだめ。まぁ、仕方ないでしょう。

手荷物X線検査時に、靴を脱がされるのは、フィリピンあるあるですが、便所サンダルに毛が生えたような、隠し武器の仕込みも難しいはずのギョサンも脱がなければ駄目で、差し戻し。

機内は9割5分以上の満席。両サイド他人に挟まれて恐縮していましたが、モニタがフリーズしていて何をやっても直せなかったので、別列の3席空席のお一人様シートに移動させてもらえました。

せっかく移動しても、これは!と思う映画がなく、仕方なく「トリリオンゲーム」視聴。

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読書も進みました。小林武彦著『生物はなぜ死ぬのか』

タイトルは難しそうですが、サクッと読める良書でした。さすが講談社現代新書。

先日読んだ地学の本にしろ、文系の人にも刺さる、生きる勇気が湧いてくるベースとなる知識を供給してくれる科学の本です。オススメ。

どんなところが良かったかというと、

・地球の歴史上、より効率的に増えるものが生き残り、死んだものが材料を提供する。「正のスパイラル」生物は、約40億年間そうやってきた。
 人を含む生物に「死」がプログラム化されているのは、それが進化によって選ばれた「有効な」あり方だから。死は忌むべきものとされているけれど、次にバトンタッチするためのものだとして諸先輩の生物方が全員従ってきたのだとすれば、人間も従うべきでしょう。
 「死」を迎えることの、積極的、かつ中立的な意義を教えてくれている。

・ドレイクの方程式  
 宇宙人と地球人が遭遇できる可能性を計算する式。知的生命体が惑星間通信のできる文明を持つ期間を1万年とドレイクは仮定したが、ここ100年の人類の蛮行を見ていると、とても1万年も持ちそうもないという著者のくだり。  
 地球上に生まれた生物として、唯一長期的な意識を持つ人類としては、もっと賢く行かなければダメですね。ちなみに、そういう文明を1千年維持できたとして、人類が地球外生物と交信できる確率はゼロ。

 でも、『ムー』は好きだっ!

・宇宙人から見た地球のイチオシは、多様な生物。しかも複雑に絡み合い、美しい風景になっている。  
 数ある惑星の中でも、これほど様々な多種多様な生命が存在している星はほぼほぼない。先日読んだ地学の本では、鉱物や大気などの非生物でも地球内部や周辺で見られる多様なあり方は、なかなか見られないものであることを知った。  
 さらにその上に存在している非「非生物」である生物の多様性は素晴らしい。進化という他の星ではなし得なかった壮大な実験が今も続いていることに鑑みると、次の世代に託して変化を続けていくことは、地球の上でしかなし得ないし、意識してそれに関われるのは人間だけだというのも、変化を積極的に愛でる根拠になるのではないでしょうか。

・進化が生き物を作った  
 進化が生き物を作ったし、人類も作った。橘玲著『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』で、性格の一部も遺伝の結果としてそこにある、という主張は私の支持するところ。  
 自分の根の深いところにある(遺伝子がそう言っている?)性格が無理なく社会に当てはめられるような生き方が、ストレスなくてよいのでしょう。

・「生き物にとって死とは、進化、つまり「変化」と「選択」を実現するためにあります。「死ぬ」ことで生物は誕生し、進化し、生き残ってくることができたのです。ーーーつまり、死は生命の連続性を維持する原動力なのです。」

・「生物はミラクルが重なってこの地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきました。その流れの中でこの世に偶然にして生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代へとつなぐために死ぬのです。命のたすきを次に委ねて「利他的に死ぬ」のです。」  
 それでも、人にとって死は悲しい。「人にとっての「死」の恐怖は「共感」で繋がり、常に幸福感を与えてくれていたヒトとの絆を喪失する恐怖なのです。」
 生物としての宿命であり、意義のある死だけれど、悲しむヒトにも寄り添っているところが良いです。

 いずれ死んで、次にバトンタッチも良いのだけれど、何かを残したいのもヒトの性。自分の「好き」で、ヒトに役立つ事柄は積極的に残していきたいので、そういう文化的・知識的な継承は、自分としてもやっておきたいですね。  

 そういう文化的・ミーム的な継承をするのにオタキングこと岡田斗司夫さんが提唱していた、4タイプ判断。4つのタイプの異なる人間をゲノムを構成する4種類の塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)に対応させて、文化を継承していくという発想も思い出されて面白かったです。

・生物を学ぶことで色々できる  
「死」のメカニズムを理解したことで可能な、アンチエイジング。  
 動物や昆虫など、他の生き物の仕組みから学ぶ便利(鮫肌で早く泳げるスイムスーツなど)。  
 線虫ががんを発見するとかもありましたね。  
 ネズミなのに30年も生きる、社会的生物のハダカデバネズミから、子育てしやすい社会を学んだり、働き方改革を模倣したり。  
 人間ばかりを見ていると視野が狭くなりがちなところに、違った視点からアドバイスができるところ、クールです。

・死なないAIと死せる人間との関係  
 今やアシスタントやパートナーとしてAIの成長期ですが、そもそも死なないAIが死ぬ人間に最後まで寄り添ってくれるかは疑問。  
 先日読んでいた『AIの遺伝子』などでは、AIの人類であるヒューマノイドには寿命があって人権が認められていたのと、寿命のないロボットには人権が認められていなかったのには、死ぬ存在であって初めて人権が認められるという構造が見られて、今の人類の切なる願いというか思いが垣間見られたようだ。

人格形成する時や、なんだかやる気が起きない時に立ち帰れる、足場補強にも役立つ本だと思いました。良書に巡り会えて良かったです。

日本についたぞの儀式は、いつもの通り、赤飯おにぎり。

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