フィリピン初のノーベル賞だが

秋はノーベル賞の発表のシーズン。日本人受賞者の見込める日本では、この時期関心を集めるニュースですが、研究分野でとりたてて特筆すべきもののないフィリピンでは、日々のニュースにカスリもしない話題なところが、まさかのノーベル平和賞受賞。

ウェブメディアのRapplerを立ち上げた、ジャーナリスト歴33年、フィリピンとアメリカの二重国籍のマリア・レッサさんが、ロシアのドミトリー・ムラートフさんと同時に受賞されました。フィリピン国籍を持つ人のノーベル賞受賞者は、史上初です。

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が、ローカルのブレーキングニュースにも、スタッフ間の話題にもほとんどあがらず。下から上まで国中が湧いた東京オリンピックでフィリピン史上初の金メダルをもたらした、重量挙げのヒディリン・ディアス選手のときとは雲泥の差です。

そもそもの受賞理由が、レッサさんはドテルテ大統領の人権無視の虐殺案件など、ムラートフさんがプーチン大統領の独裁への反発といった、反人権・反民主主義体制に対する、長きに渡っての非暴力的活動に与えられたもの。つまり、それだけ非難に値する社会であるフィリピン(とロシア)という悪条件が前提となっている状況は、フィリピンに住む者にとっては、手放しで喜べないことです。むしろ、こういった社会政治状況を鑑みて、襟を正してよりよい社会への動機の一つになるべきところが、ほぼシラケでスルーの対応をしているフィリピン社会に、あまり期待は持てなそうです。

人権無視で独裁的といえば、中国の習近平が思い浮かぶこの頃なので、香港の民主派新聞のリンゴ日報の創業者で逮捕された黎智英(ジミー・ライ)氏に平和賞を送っていてもよかったのではないかと思い、そうなった場合は中国激おこぷんぷん丸になっていたことを考えると、ノルウェー・ノーベル委員会は良いチョイスをしたように思います。ロシアもフィリピンも、国際的には2、3流国なので、中国をつついたときのように国際社会を揺るがさず、かといって「人権・民主化は大切」という、中国やアフガニスタンのタリバン政権を食い物にする勢力への牽制メッセージを打ち出せたからです。

ちなみに、ジミー・ライ氏、よく調べたら、英国籍でした。

その中国では、民主化に尽力を理由に11年前の2010年に劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞していますが、結局その後逮捕、保釈を求める動きもありましたが、2017年に末期がんで獄中でなくなっています。このことから考えると、ノーベル平和賞が平和を持たすわけではないことは明確で、こういったアイコンを旗印に、本当に平和を求める人たち一人ひとりの動きが必要になっていくのでしょう。

フィリピンでは、少なくとも下々の人たちにはスルーの案件なので、この受賞を機に、もっと平和で良い社会にしようという機運が高まる可能性は、低そうです。

いつもの通り、よく考えないけれどなんだか幸せ、な世の中が続いていくのだと思います。欲しがらなければ、欲しくないですからね。

グリーンベルトで前を歩いていた、短パン青年たち。ロヒンギャみたいな語感の、ワランギヤTシャツ着用で通路いっぱいに広がって邪魔でしたが、おそらく、Wlang hiyaを間違ってカタカナ化したんだと思います。

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Wlang hiyaの意味は、「恥知らず」。己を知ることは、良いことです。


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