ゴッホの「ひまわり」と向き合う朝
ジェラルディンとクラリッサの日本滞在も残りわずかとなった、2度目の土曜日。この日は大きく2つの予定を組んでいました。ひとつは新宿のSOMPO美術館でゴッホの「ひまわり」を見ること。もうひとつは小江戸・川越を歩くこと。どちらもフィリピンの日常からは少し遠い、日本ならではの時間です。
そもそも、世界的絵画を常設で見られる美術館は、フィリピンにはありません。
SOMPO美術館に着いてみると、ちょうど「ウジェーヌ・ブーダン展」の初日でした。ブーダンといえば、あの『睡蓮』のモネを印象派へと導いた画家として知られています。「印象派の架け橋」とも呼ばれる存在ですね。



実際に作品を眺めてみて印象的だったのは、その構図です。海辺の風景が多いのですが、キャンバスの3分の2が「空」なんです。これがなんとも不思議な親近感を呼び起こしました。アニラオで写真を撮っていると、気づいたら3分の2が空になっていることがよくあります。今度アニラオの海に向かうときには、印象派的なイメージも持ちつつ撮影してみましょうか。
ゴッホの「苦しさ」を感じてしまった
そしてお目当ての、ゴッホの『ひまわり』。

世界に6点しかない本物の前に立って感じたのは、「苦しさ」でした。
本来この絵は、アルルで画家たちのコミュニティを作ろうとしていた希望に満ちた時期に描かれたものだと言われています。でも、その筆使い、絵の具の盛り上がり方……どこかに苦悩が滲んでいるように見えてしまう。
もちろん、後のゴッホの人生を知っているからこそのバイアスかもしれません。でもそれを差し引いても、何かが伝わってくる。絵には、見る人にいろんなことを考えさせ、感じさせる力がある。そのことを改めて実感しました。
ふと思い出したのが、藤田和日郎先生の漫画『双亡亭壊すべし』。画家がラスボスとして登場する展開、あれも「絵の力」を表現しようとしたものだったのでしょうね。絵の力で人を引き込む画家を物語のラスボスに据えるという発想。藤田先生や『ジョジョ』の荒木飛呂彦先生のような、漫画家でありながら「画家としての力」を持つ方々のことも頭をよぎりました。


セザンヌ先生の絵も一点ありましたね。

川越で思いがけない再会
午後は川越へ。静岡の親戚に続いて、ジェラルディンの高校時代の同級生が埼玉の北部に住んでいるということで、川越で落ち合うことになっていました。
彼女はALT(外国語指導助手)として3年契約で日本に来ているそうです。深谷周辺に住んでいるとのことで、わざわざ出てきてくれました。高校卒業以来の再会ということで、実に10年ぶりくらい。

それでもふたりは非常に仲良く、楽しそうに話していました。彼女は日本がとても好きで、「日本で一番好きな食べ物はカレー」と言っていたのが印象的でした(笑)。静岡のいとこもカレーを作って振る舞うあたり、日本のカレーはかなり万人に愛される要素を持った食べ物なのかもしれません。
川越を一緒に歩いて喜多院まで。奥さんのお目当てだった、桜の形をしたお守りを留守番スタッフにも買っていました。
赤羽の「川栄」——しびれる美味しさ
川越散歩の後は赤羽へ移動して、夕食はうなぎ。奥さんのリクエストで前日から予約していたお店「うなぎの川栄(かわえい)」です。
定番のつくねも絶品でしたが、飲み物として外せないのが「山椒サワー」。一杯飲むたびに口の中がしびれて、それがまた次の一口を呼ぶ。今こうして書いていても、舌がその感覚を思い出しているほど。心にも舌にも残る、素晴らしい食事でした。




食後はジェラルディンの靴を買いに少し寄り道。気づけば家に戻るのは22時頃になりそうでしたが、翌朝は6時過ぎからタケノコ掘りの予定が入っています。早く寝なければ——でも、女子たちが買い物を楽しんでいる様子を見ていると「まあいいか」という気持ちになりますよね。おじさん、頑張ります。


今日のまとめ
ゴッホの『ひまわり』を本物で見られたこと、そしてジェラルディンの友人との思いがけない再会が実現したこと。アート、人とのつながり、食——充実感の高い一日でした。
SOMPO美術館(新宿)は、ゴッホの『ひまわり』が常設展示されている数少ない美術館のひとつです。企画展と合わせて訪れると、より充実した鑑賞体験になります。また川越は、蔵造りの街並みと小江戸グルメが楽しめる日帰りスポット。都心から1時間以内でアクセスでき、外国人スタッフを連れて行くと喜ばれます。赤羽の焼き鳥・うなぎ文化も、東京ローカルの魅力として外せません。
コメント