アニラオのスタッフはレベル3

9月に読んでいてとても面白かった本、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング他著。12月の今となっては、2019年内で読んだ中で最も面白かった本となりました。

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なかなかブログで取り上げるチャンスがなかったのですが、スタッフクリスマス休暇中でブログにあげる内容が乏しいのと、最近テレビをみるならその時間かわりに観ていたい、YouTubeの中田敦彦のYouTube大学でもとりあげられていたので、このタイミニングで上げることにしました。

いわゆる「発展途上国」のフィリピンで、そこの人間と一緒に商売しているアニラオヴィラマグダレナ。「発展途上国」渦中にいる当事者であると思っていたのですが、どうやら世界は、「先進国」対「発展途上国」という図式ではもはやない、というお話しです。

私が子どもの頃はたしかに40〜60%の国が貧困にあえぎ、女性は教育を受けられず、小さな子どもは予防接種を受けられずに死んでいくという世界であったけれど、今は違う。絶対的貧困は全世界の9%にまで減っている事実があるのに、世界は分断され、悪くなっていっているという思い込みが何故か人(特に知識人出ればあるほど)の判断を誤らせている。

著者は医師のハンス・ロスリング。TEDでかなり有名な人だったようです。実際かなりプレゼンは面白いです。この本を遺作に亡くなりました。

ハンスが提唱したのが、先進国と途上国の二極化概念でなく、レベル1〜4の4つに人々の生活レベルに合わせて分類する方法。一つの国の中にも1〜4のレベルの人が混在します。

よく、あの国の文化はどうだから、人もなまけているなど言われていますが、どの文化圏に属していても、各レベルの人の生活様式は驚くほど似通っているといいます。それを写真で比較できる、ドルストリートというのも、氏と氏の娘夫婦のプロジェクトです。

一日の収入別でレベルは分類されているのですが、乗り物で象徴的に表すと、移動手段が徒歩の人はレベル1、自転車の人はレベル2、バイクがレベル3、車になるとレベル4です。

となると、「発展途上国」フィリピンのアニラオのスタッフは、レベル3ということになります。ほぼ全家庭にバイクがあります。ロナルドは車に乗っているので、レベル4。

スタッフと接していて、「何故できない」などいらつくことは多々ありますが、それをフィリピンの文化のせいにするのではなくて、レベルの差と思うこと。さらに、そのレベルは1から2、3から4へと変化していくことができるのであるとわかると、将来が明るいものに思えるし、なにより、「レベルアップ」っていいじゃないですか。言葉の響きとしても、カイゼンでより良いものを目指すのを是とする日本人の性としても。

表紙はそっけないですが、中身は読みやすくてかなり面白いです。そして、著者の愛と情熱に溢れています。まだ読んでいない方に是非オススメです。

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