ダイビングをした日は、本当によく眠れるのか | Garminダイコン×AI

「潜った日はよく眠れる」

ダイビングを仕事にして20年、ずっとそう感じてきました。アニラオに滞在されるゲストの皆さんからも「アニラオにいると眠りが深い」「日本に帰ってから、あの眠りが恋しい」とよく言われます。

ただ、これが本当なのかどうかは、ずっと分からないままでした。単に体を動かして疲れているだけかもしれないし、海辺で過ごす解放感がそう思わせているだけかもしれない。「気がする」の域を出ないわけです。

先日、Garminのダイブコンピュータ(昔は活動量計)に溜め込んできたデータを全部手元のパソコンに落として、AI(Claude Code)にそのまま読ませる仕組みを作りました。9年近い睡眠記録と、777本ぶんのダイビングログが一つのデータベースに並びました。

これは例の仮説を確かめるチャンスだな、と思いまして。調べてもらいました。

調べたこと

ダイブログが途切れなく残っている2022年6月以降で、潜った日の夜328泊と、潜らなかった日の夜1,127泊を比べました。

一つ細かい話をしておくと、「7月26日に潜った夜の睡眠」は、記録上は「7月27日の睡眠」として残ります。目が覚めた朝の日付で記録されるからです。ま、大勢には大きく影響しませんけどね。

ガーミンには「睡眠スコア」という総合点があります。これで比べてみると——

潜った日の夜 潜らない日の夜
睡眠スコア 60.5 61.2

差なし。というより、わずかに低いくらい。

20年の体感、あっさり否定されました。なんなの、睡眠スコア?

気を取り直して、中身を探ってみることに。総合点ではなく、眠りの中身を一つずつ見ていったら、様子が変わりました。

潜った日の夜 潜らない日の夜
深い睡眠の割合 22.7% 19.7% +3.0pt
睡眠中のストレス 25.8 28.4 −2.6
寝返りの回数 38.5回 42.7回 −4.2回
翌朝の安静時心拍 50.3 50.8 −0.5

潜った後は、深く、静かに眠っている。寝返りも少なく、睡眠中のストレス値も低い。翌朝の安静時心拍まで下がっています。睡眠の質は良くなるみたいです。

体感は間違っていなかった。ではなぜ総合点に出ないのか。

犯人は「長さ」でした

潜った日の夜 潜らない日の夜
睡眠時間 6時間02分 6時間41分 −39分
就寝時刻 23:02 22:39 23分 遅い
起床時刻 05:27 05:45 17分 早い

潜った日は、寝るのが23分遅くて、起きるのが17分早い。両側から削られて、合計39分ぶん睡眠が短くなっていました。

心当たりしかありません。夜は割と遅い時間までおしゃべりしながら飲み食い。朝は朝食を作っているキッチンスタッフほどの早起きではないですが、5時くらいには起床です。ダイビングそのものというより、アニラオでダイビングリゾートの運営に携わる日の一日の形がそうなっている。

そしてGarminの睡眠スコアという指標は、眠りの長さにかなり強く引っ張られます。深さで稼いだけれど、短さで吐き出していたみたいです。通常でも、7時間以内の睡眠だと、かなり深く眠って、レム睡眠の時間もない限り、良い点が出ないくらい、長い睡眠がGarminでは重要視されます。

Garminはカナダ発祥のメーカー。日本は世界的にみても睡眠時間が短い国です。ちなみに、両国の睡眠時間平均の違いは、これくらいです。

同じ時間だけ寝ていたら、どうなるか

話をもどして、同じくらいの長さで眠った夜どうしを比べ直してもらいました。これが決定的でした。

睡眠時間 潜った夜のスコア差 睡眠中ストレスの差
5.5〜6.5時間 +4.9 −6.0
6.5〜7.5時間 +3.8 −4.0
7.5時間以上 +6.8 −4.5

同じ時間だけ寝たなら、潜った日の夜のほうが明確に点数が高い。しかも、長く眠れた夜ほど差が開いていきます。

「潜った日はよく眠れる」は、気のせいではありませんでした。ただし正確に言うなら、「潜った日は、寝た時間あたりの眠りの質が上がる」ということのようです。

ということで、朝5時に起床する必要のないマグダレナのゲストさんたちにとっては、ダイビング→良い睡眠というのは、正しいということが言えそうです。

ここで、一点注意が、就寝前の深酒。アルコールをたくさん飲むと心拍数も上がりますし、夜中にトイレに起きる回数も増えます。マグダレナの場合は、バーが20時で閉まるように昨今なっていますので、持ち込んだボトルで大フィーバーでもしないかぎり、そういった事態にはならないと思いますが、「楽しいダイビング後の幸せな睡眠」という、ダイブサイトでしか楽しめないコンボのためにも、晩酌は程々が良いと思いますよ(^o^)

ダイビング以外の疲労も手伝っているのか疑惑については

これは自分ひとりの記録を後から眺めただけの話で、実験ではありません。だから「ダイビングが睡眠を改善する」と言い切るにはちと弱い。

私にとっては、潜る日=仕事の日です。早朝から起きて敷地内をウロウロ、日中はフィリピンの強い日差しをたっぷり浴びて、一日中体を動かして、人と喋っている。その一日まるごとの効果であって、水中にいたことだけを取り出せているわけではありません。

ということで、「単に体を動かして疲れているだけでは」という疑いについても少し追加で考察。歩数が同じくらいの日どうしで比べ直しても、潜った日の夜は深い睡眠の割合が高いままでした(歩数が少なめの日で+4.3pt、ふつうで+2.9pt、多い日で+2.0pt)。よく歩いた日ほど差は小さくなるので、活動量で説明できる部分もそれなりにありそうですが、それだけではない、というところまでは言えそうです。

それでも、明日から使える結論が一つ

潜った日こそ、いつもより早く寝る価値が大きい。

潜った後の睡眠の質はもう勝手に上がっているんです。足りていないのは長さだけ。あの39分を取り返せたら、その夜はかなり良い睡眠になるはずです。

ということが分かってから、夜はいつもよりさらに早めに床につくようにしてみました。

皆さんもやってみると面白いですよ

同じことは、たぶん皆さんもできます。最近のスマートウォッチや指輪型のデバイス(ガーミン、アップルウォッチ、フィットビット、オーラリングなど)は、たいてい睡眠のステージまで記録しています。アニラオに滞在した数日と、日本に戻ってからの数日を比べるだけでも、かなり面白いはずです。ふだんの生活と、朝から海に出る生活。体の反応は、たぶんはっきり違います。

やり方も、思ったより難しくありません。

1. データを手元に出す。ガーミンなら、アカウントの「データ管理」からデータのエクスポートを申請すると、ダウンロードリンクがメールで届きます。今回は申請から1時間ほどで来ました。ひとつ注意で、このリンクは3日で切れます。私は一度これで取り逃して、まるまるやり直しました。メールが迷子にならないよう、目印を付けておくのがおすすめです。

2. AIに読ませる。落ちてくるのは大量のファイルですが、中身を自分で読み解く必要はありません。「この中の睡眠データを取り出して、ダイビングをした日としなかった日で比べて」と日本語でお願いするだけです。プログラムが書ける必要はありません。私も書けません。

3. 自分の仮説をぶつける。ここがいちばん楽しいところです。「二日酔いの翌日は本当にダメなのか」「何本潜った日がいちばん疲れているのか」「歳をとって回復が遅くなったのか」。ずっと「そんな気がする」で済ませてきたことに、自分のデータで答えが出ます。当たっていても外れていても、なかなか面白いです。

ダイビングは、体に何かを起こしている。それは間違いないようです。潜って楽しい、リフレッシュ!という気持ちは必ずあると思いますが、こういう、体のデータもそろうとさらにダイビングが好きになるかもしれませんね。数値が好きな方、体とデータで向き合いたい方、これをキッカケにAIでも使ってみようかなという方にオススメです(^o^)

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